年金をいつ受け取るのがお得か?に正解はありません。なぜなら、想定する寿命や収入、資産状況などで答えが変わるからです。特に寿命は考えても正解が出ない要素なので「いかに自分が納得した結論を出すか」が重要になります。
本記事ではみなさんが納得した決断を下せるよう、年金受け取りの基本と注意点、損益分岐点シミュレーションの結果を解説します。
- 年金は繰り上げ(早めに受け取る)、繰り下げ(遅らせる)ことで増減する
- 増減した金額は一生継続される
- 想定寿命が75歳以下なら60歳で、80歳なら65歳で、85歳以降なら70歳で受け取るとお得
- 早めに受け取って自分で運用する想定はおすすめしない
- 迷ったら65歳で問題ない(大きく損することもない)
年金受け取りに関する基礎知識
あなたに合った戦略を考えるために、まずは年金受け取りに関する基礎知識を理解しましょう。
基本は65歳だが、60~75歳から選べる
年金は65歳で受け取るのがスタンダードになっていますが、60~75歳のいつから受け取り始めても良いです。何も考えたくない人は65歳を選択するのがほとんどですが、戦略的に60歳から受け取ったり、75歳から受け取る人もいます。
早く受け取ると減額、遅く受け取ると増額される
年金は65歳を起点として、1か月早く受け取るたびに0.4%減額、遅く受け取るたびに0.7%増額されます。例えば60歳から受け取ると、60か月×0.4%=24%減額された年金を死ぬまでもらうことになります。何歳まで生きる想定をするかによって最適解は異なりますが、一度決めたら変更できないので慎重に決める必要があります。
寿命、収入、資産、自分で運用可否など考えることが多い
いつ受け取るのがいいかは、人それぞれで、決めるために考えることがたくさんあります。例えば、長く生きる想定なら受け取りは遅い方が金額的にはお得になります。また、収入や資産がなければ、早く年金をもらうしか選択肢がない場合もあります。
他にも早く受け取って自分で運用する方法もあるため、様々な要素を総合的に比較して決める必要があります。ただ、面倒な方は65歳から受け取るのが良いと思います。
プロでも正解は出せない
お金のプロと言えばFPをイメージされると思いますが、正解は誰にもわかりません。なぜなら、寿命や今後の年金制度がどうなるかは不確実だからです。そのため、誰かに言われたからではなく、自分で納得感を持って決めることが最も重要になります。
年金受け取りに関する注意点
年金受け取りについて考える際に、絶対に知っておかないといけないポイントをまとめました。理解していないと損するので必ず覚えておきましょう。
働いていると年金が減額される場合がある
在職老齢年金という制度で、65歳以降に厚生年金を受け取りながら会社員として働いている場合、厚生年金と会社員の平均月収(月収とボーナスの合計を12で割った数字)の合計51万円を超えると受け取れる年金が減額されます(金額は変更の可能性あり)。
51万円を超えた部分の1/2が年金から減額されるので、例えば厚生年金15万+月収40万の場合、4万円超過するので半分の2万円が減額されます。会社員を退職している方や月収が多くない方は気にする必要がありませんが、もし高年収の場合は気を付けましょう。
※基礎年金は計算に含まれません。あくまで厚生年金の金額で計算します。
遺族年金や加給年金がもらえる場合は総合的に考える必要がある
遺族年金の対象者は、繰り上げ自体は可能ですが65歳までは遺族厚生年金と併給不可なので、繰り上げると不利になり得るので注意してください。
また、加給年金の対象者は繰り上げた瞬間に対象外になってしまい、もらえるはずだった加給年金を捨てることになります。他にも色んな年金との兼ね合いで、判断を間違えると損するケースがたくさんあります。必ず制度を調べて、無駄のない選択ができるよう準備をしておきましょう。
受け取って自分で運用する手もある
自分で資産運用できる方なら、60歳から年金を受け取って自分で運用するのもありです。ただし、60歳になるとリスクに対して慎重にならないといけないですし、年金の減額は一生続くので、それを上回る利益を出すのは難易度が高い点には注意してください。
損益分岐点シミュレーション
例として65歳時点で月15万円の年金をもらえるケースで、受け取り開始年齢ごとの年金の違いをまとめました。縦軸に到達年齢、横軸に受け取り時の年齢で比較しています。
到達年齢 | 60歳受け取り開始 | 65歳受け取り開始 | 70歳受け取り開始 | 75歳受け取り開始 |
---|---|---|---|---|
75歳 | 2,052万円 | 1,800万円 | 1,278万円 | 0万円 |
80歳 | 2,736万円 | 2,700万円 | 2,556万円 | 1,656万円 |
85歳 | 3,420万円 | 3,600万円 | 3,834万円 | 3,312万円 |
90歳 | 4,104万円 | 4,500万円 | 5,112万円 | 4,968万円 |
95歳 | 4,788万円 | 5,400万円 | 6,390万円 | 6,624万円 |
到達年齢75歳では、60歳受け取り開始したパターンが最も年金を受け取れます。なぜなら、減額されているものの、早めに受け取っているアドバンテージが大きいからです。
80歳になると、60歳と65歳受け取り開始がほぼ同じ金額になります。そして、85歳になると70歳受け取り開始パターンが追い上げてきて最も年金を受け取れます。
つまり、85歳以降まで長生きする想定の方は70歳受け取りが有利ということです。一方で80歳くらいを想定するなら60歳または65歳受け取り開始の方が累計の年金額は多くなります。

いつ死ぬか想定するのは難しいので、自分が納得いく選択をすることを重視してくださいね!
早く受け取って自分で運用するのはあり?
結論から言うと、基本は無しです。
例えば、65歳受け取り時の年金が月15万円の場合、60歳受け取りだと月11.4万円に減額されます。つまり、年43.2万円も受け取れる金額が減ってしまいます。これが10年続けば432万円、20年なら864万円の差が生まれます。
一方、60歳で受け取って5年間運用した場合、利益は年利4%運用で72万円、年利7%運用で132万円です。5年間早く受け取って運用しても金額は知れており、一生減額されるインパクトと比べると小さいです。



もっと利益を出せる方は早く受け取って運用する戦略も有効ですが、基本的には無しだと思います!
まとめ
年金の受け取りは、「まだ先の話だから関係ない」と思っている方が多いですが、実際にそのタイミングになった時に考えるのは大変です。今のうちに、少しずつ考え始めておくのが失敗しないためにもおすすめです。
年金の受け取りタイミングに正解はありませんが、自分なりに根拠を持って決めることが大切です。私は迷ったら65歳でいいと思っていますが、適当に決めずに、自分の意思を持ってお金の決断をできるようになってほしいと思います!
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